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The Dream is to any directions on the Current of the Clouds. 主に漫画、ライトノベルの感想などを更新、溢れるオタク思考が原動力です。



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[小説] 隠れ姫いろがたり -紅紅葉- 著:深山くのえ

「あっ、いけない。褒めるときは控えめに、でしたよね。高倉に教わっていたのに」
 できれば歌で、とも言われていたが、まだ難しい。
「……別に、そういうことは気にしなくていい」
「え?」
 純子が首を傾げて理登の顔を覗きこむと、理登は下を向き、視線を純子から背けた。
「好きなように話せばいい。……悪いことを言っているわけではないのだから」

(隠れ姫いろがたり -紅紅葉- p72)


隠れ姫いろがたり -紅紅葉- (ルルル文庫)
隠れ姫いろがたり -紅紅葉- (ルルル文庫) 深山 くのえ あき

 小学館 2015-08-26
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深山くのえ先生の作品を読むのはこれで2作目です。
以前、感想を書いた「桜嵐恋絵巻」以来です。
桜嵐は、平安を舞台にした、しっとりした雰囲気のお話で、文章も読みやすく一気に読んだ覚えがあります。が、まぁ、過去に書いたとおり、少し引いて見てみるとなぜかヒロインヒーローに対して個人的にもやっとするものが残る作品でもありました。

この度、ふと普通の少女小説が読みたいなと思ったかは記憶が定かではありませんが、今回の隠れ姫、イラストはあくの強くないあきさん、何かあらすじに惹かれるものがある、深山さんの平安もの――ということで、数日悩んだ後読むことにしました。

結果、久しぶりに少女小説を読んで当たりだったなぁっと。
次巻が楽しみであります。
だいたい4ヶ月スパンで出されてるみたいなので、12月かな?



今回のお話は、十二年前に行方不明になった帝の娘、純子が主人公です。
そしてお相手は、先々代の帝の皇子である兵部卿宮、理登。
外で育った純子の教育係として、帝に彼が遣わせられ二人は出会います。

けれども、その期間は一月と短い間でしかなく、純子は母親のいる宮中に戻されてしまう。
そして、戻ったはいいけれども、双子の兄はうざいし、周りの女房たちとは価値観違うし、環境の変化から再度悪夢は見はじめるしで、会えなくなってしまった理登に会いたい想いを募らせる。
理登も純子に会えなくなり何も出来ない自分に悶々とした日々を過ごしていたけれども、自分の持てる力を使って、純子に会おうとし、また彼の友人である藤原直輔の気回しにより、二人は再会しお互いの想いを確かめあう――というのが、大筋。


この巻のみでは、そんなに大きな動きはないし、誰が三歳だった純子を親元から離したのかとかも分からない状態です。

ただ、びっくりしたのが……

この巻で、後朝の文までいってしまってることです。

私、古典とか興味ないから平安風俗なんて本当に無知です。
恋嵐を読んだとき、思わせぶりなシーンあるけれど、昔の人だから貞操観念高そうだしやってねーのかな? なんて思ってたくらいで、妊娠ってのが出て、ああ今まで思わせぶりだったところ全部そういうことなのかと納得したくらいです。
キリスト教が入る前の日本は奔放だったようで、女性の貞操観念は低いというか、よく言えば、とにかく全身で恋を楽しんでたんだろうなといいますか……。そして、恋が終わると次へ行くのも早かったとか何とか。田舎とかだと昭和の時代まで通い婚とかあったらしいです。なかなか面白いもんです。


話はそれましたが、恋と自覚していなかった十五歳のヒロインが己の恋を自覚してすぐ、二十代前半のヒーローと一気にそういうところまでいってしまったわけです。
純子の朝の様子からも、この時代の女性の性への受け止め方がわかるものがありました。



にしても、何が良かったって、理登の三つの質問ですよw

純子が自分を慕ってくれているのは、男ではなく兄としてではないのかということへの確認、外で育った彼女が今まで呼ばれていた名、そして自分が彼女とこれからも会おうとすることで自分達が恋仲に思われる可能性について――


いやぁ、自覚した後の理登の行動が早いな、さすが平安時代。
というか、己の恋を確かめるために通うのかもしれないけれども。

理登が質問したときは一方通行だと思われていた彼の想いは、彼が純子に彼の覚悟について語ったときに、彼女もまた己の想いを恋と自覚することになり、想いを確かめ合った二人は――と、夜明け前、純子が理登を見送る描写で何があったか察せられるというものです。
そして、理登の二つ目の質問の答えだった「いと」という純子の名前呼びに、私の萌え心が激しく刺激されたのは言うまでもない。是非、純子の「理登様」と呼ぶシーンも見てみたい。

それはさておき、着物に匂いが移るってなんだかエロティックだよね! 
TL読み漁ってる私ですが、雰囲気のかもし出すエロスに、直接的なエロは到底及ばないと思うのです。
現在の彼らの関係である、夜しか会えないという何だかエロスのある現況がどう変わっていくのかも楽しみです。
にしても、こんな状況から妊娠しちゃったりしたらどうなるんだろうね?


いや確かにね、少女小説だし、まだ1巻だし、そこは言葉通り、朝まで一緒にいました~ってだけなのかなと思わなくもなかったのですが……理登が後朝を文を送ってきたので、そういうことなのでしょう。私でもそのくらいの古典知識はあるのです。
作中では純子が理登の文の意味を理解できていないので、彼からどんな文が送られたのかは語られていませんが、今後明かされ、純子がその意味を知るときが彼女はどんな反応をするのでしょうか。是非、赤面モノであることを期待しますw

一気に関係の進展した純子と理登ですが、純子つきの女房である高倉は、まずは文の交換からと思っていたようです。この件に関しては、直輔の気回しが大きく影響したと言えます。
直輔グッジョブと言いたいところですが、少女小説としてはそれにいたるまでももうちょっと読みたかったのも正直なところです。
ですが、純子は後宮にいるわけで、貴族のお姫様と比べれば通うのは中々難しそうなポジションです。彼女は出歩くこともできないわけで、恋の発展となると文を交わすくらいしかない。また、理登の宿直がある夜にしか会えない二人なわけで(と言っても、理登はすでに宿直関係なく訪れたりしてますがw)、両想いの二人がそんな状況にあって、かつ平安時代ということからしたら、逆にここまでの関係にいかないほうがおかしいのかなとも思います。私自身、じれったい恋の駆け引きをほぼすっとばして恋人となった二人の今後がとても気になる次第であります。

直輔の「会えたのか」の問いに対して「逢えた」と答えているのが、中々印象深かったです。つまり、ただ会ったというだけではないということで。



きっと理登は彼の背景から、今まで色々と心無い噂をされてきたのだろうなと思います。
そして、まっさらな純子が嘘は嘘と言って、彼自身を見ようとしてくれた純粋な様や今まで育った環境から離されてどうにか頑張っていこうとする様に心惹かれていったのかなと見えます。作中でも、クールな表情の下でひそかに動揺してそうなシーンがいくつかありましたw

そして、純子は宮中で育ってないので、お姫様教育というものは全く受けていません。
天真爛漫で素直な気性で、しきたりとかに対して愚痴たれる様子はちょっとアホっぽい部分もあるので、読み手によっては好き嫌い分かれる要素になりそうですが、私は凄く可愛く思えました。
ただ明るいというだけではなく、過去連れさらわれた経験のトラウマに苦しんでいる部分もあって、その明るさやひたむきさと彼女の弱さとのギャップがなんとも可愛いのです。こんなん目にしちゃったら、男心つっつかれるのはしょうがない。その上、夜の二人だけの状況で袖を掴まれて行かないくださいなんて言われたら、後朝交わす仲になってしまうのもしょうがないw
純子の行動がいちいち可愛らしいので、ラストあたりでは理登はもうかなりやられてるんじゃないかななんて思うくらいです。

今後、純子をさらった人物(勢力?)やらが明るみになっていったり、二人の恋に対して色々出てくるのかもしれません。
お約束として、恋のライバルとか嫉妬とかの要素も見てみたいです。

とりあえず、身分的には問題なさそうな二人なので、ゴールインするときはさらっとしそうですが、現在のところ、理登が純子の元に通うことに対して、彼女の今後の縁談に差し支えあるのではと言ってる部分があるので、自分がその相手になるとは考えたりしないのかなと思いますが……



何はともあれ、続きが楽しみです。



隠れ姫いろがたり -紅紅葉- (ルルル文庫)隠れ姫いろがたり -紅紅葉- (ルルル文庫)
深山 くのえ あき

姫の華麗なる奴隷生活 (ルルル文庫) 春天繚乱  花鎮めの姫と七星の剣 (角川ビーンズ文庫) 呪われた皇帝と百人目の花嫁 (ルルル文庫) シンデレラ伯爵家の靴箱館 偽りの乙女は時をかける (ビーズログ文庫) 箱入り王女の災難  時間と秘密と天使のワルツ (角川ビーンズ文庫)

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テーマ : 読書感想文    ジャンル : 小説・文学

[漫画] 午前0時、キスしに来てよ1 著:みきもと凜

午前0時、キスしに来てよ(1) (講談社コミックス別冊フレンド) 午前0時、キスしに来てよ(1) (講談社コミックス別冊フレンド)
 みきもと 凜

 講談社 2015-07-13
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今まで、みきもと凛先生の連載作品はぼんやりながら知ってはいるけど、設定が好きじゃなくまともに読んだことはありませんでした。

映画化した近キョリ恋愛は、教師×生徒ものってのが好きじゃなかったし、
きょうのキラ君は、1話の時点で余命宣告された病気設定があるのが好きじゃなかった(難しい手術で助かるけど)。

絵自体は、小奇麗だなぁとは思ってたけど、そこまで好きな部類でもなかったし、独特のギャグセンスやデフォルメ絵の感じもそこまで好みではなかった。
こんな印象を持っていた私が、この新連載は単行本を購入!
そういえば、私が単行本を購入しようと思ったこの流れって、青木琴美先生のカノジョは嘘を愛しすぎてるのときとちょっと似ているなと思います。


はい、芸能界モノです。
いや、芸能界モノというと語弊があるか。

イケメン俳優×普通の女子高生の王道ラブストーリー!

私の三次元の芸能人の知識度は、平均値を遥かに下回るものだと自負しておりますが、漫画の題材としての芸能モノって結構好きです。
潜在的なミーハーなのでしょう。
でも、二次元アニメ、ゲーム大好きとは言っても声優にもさほどの熱意はなかったりします。声を売りにしたイベントにはまず行きません。

あと、基本的にシンデレラストーリーというものが、主人公が女でも男でも題材が何でも好きなんですよね。

みきもと先生の今作のように、乙女らしく王子様願望よろしく平凡女子がイケメンに愛され…なんていう王道設定も好きですが、カノ嘘やBECK、スキップビートのように、主人公が芸能界で頑張っていく話も好きです。
他、手元にある芸能界が関わっている作品を言うと、こどものおもちゃでしょうか?
歌手を題材としたDRAGON VOICE、天使の唄とかも読んだなぁ。


さて、今回のお話。

何事もきっちりとこなす性格の花澤日奈々は、人からは品行方正な優等生として見られそのように過ごしているけれど、実は童話のようにイケメン王子様との恋に憧れる女子高生。(そういえば、何年生なんだろう?)
そんな彼女の通う高校に、元アイドルユニットで活躍していた実力派イケメン俳優の綾瀬楓(24)が映画撮影のために来るという。そして、生徒会に入っている日奈々はエキストラとして出ることになって――

と、別にエキストラがきっかけとなって何かあるということはないんだけど、たまたますれ違ったり、たまたまこのイケメン俳優がぷりケツ大好きなお尻星人であることを知ることになったりする。が、お約束のように、別にそれを楓が口止めするために日奈々に何か要求したりと、少コミ展開があるわけでもない。

学校内ではそんな通行人A程度の関わりしかない日奈々と楓だけれども、ただただ偶然が重なり、ロケの休憩のときに学校(ロケ地)から出ていた楓と、休日の楽しみのために外出していた日奈々が出会い、人気の少ない映画館で映画を見ることに。
ほんの少しの関わりあいから、綾瀬楓という人間本人に触れ合う日奈々。
でも、この日に起こった彼との関わりと、楓の行き過ぎたファンの行動により、誤解された日奈々はエキストラを下ろされることに。

結構、無駄にツンツンしてたり、俺様主流の昨今の少女漫画にしては珍しく、楓本人はほんの少ししか関わりを持っていないのに日奈々という個人に対し全幅の信頼を寄せ、またそのときどう動けば事が丸く収まるかなどをきちんと考えた、言動、行動をしている大人なのがなかなか新鮮。また、大人なのに茶目っ気があるのが素敵でもあります。
そして、自分から連絡しろと電話番号を教えたりするのに、仕事用の番号を教えてしまい、連絡が取れずすれ違うことに。
そんなとき、ご都合だなって感じではありますが、親友のるんちゃんが楓が出るTV番組の観覧に当選したと一緒に行き、再会。
ここでやっと、日奈々は自分の名前を楓に名乗ることができて、ここで2話終了。
3話目は、デート。お昼を外食後、家に連れて行かれ、ちょっとした誤解をして帰ろうとしたときに、マネージャーさんが来て…ここで1巻終わり。

3話の、お家デートで日奈々が友達の写真を見せて紹介してるところで、幼馴染(男)のあーちゃんに関して話していたとき、拗ねて「オレのなのに」なんて言う楓がかわいいです。

というか、なぜか単行本が出る前は、楓は20歳だと思いこんでたんですが、24歳なんですよね。
日奈々が高1か高2かわかりませんが、日奈々も同級生のるんちゃんも生徒会役員をしていることから、私の感覚で言うと2年生なのかなぁと思います。もちろん学校によっては、副会長を1年生がつとめたりするのかもしれませんけれど。でも、楓に写真を見せているときに入学式の写真があることから、1年生の可能性も読めなくもないけれど、漫画であることを踏まえず現実的に考えると、GW前の時点、入学して1ヶ月かそこらの時点で、1年生が副会長や書記といった生徒会役員のポジションは絶対ないと思います。逆に5月であるということを踏まえると、3年生という可能性もありますが、漫画の題材として考えると、特に芸能人を恋の相手として据えた話として見ると、3年生はないかなぁって感じで、やっぱり2年生が有力かなという感じがします。ま、3年生でも受験生ではないかもしれませんし、いくら日奈々が優等生設定でも、学校のレベルはわからないので、その辺はなんともいえません。
長くなったけど、日奈々が高2であるとすると、16か17歳なわけで、作中の時期的に16歳の可能性の方が大きいわけですが、それを踏まえると、楓との年齢差は8歳になるんですよね。結構でかいなーっと。
何年か前まで大好きだったスキップビートの蓮さん(21)が、17歳であるキョーコが女子高生であることに対し、悶々と悩みまくっていたのを考えると、そういった葛藤はないもんかなぁなんて思わなくもありません。
でも、逆に楓のこの年齢設定は、親父な発言をしたりするには有りだなとも思いますw


1巻には3話まで収録されており、続きの4話目は今月発売の雑誌で読むことができます。
少し前から講談社系の雑誌はリアル発売と同時に電子書籍も発売するようになったのですが、たまたま検索をかけると216円と電子書籍として自分が手を出せる価格帯だったので、思わずポチっちゃいました。
別冊フレンド 2015年 08 月号 [雑誌]

ネタバレしますと、日奈々も芸能人だ、イケメンだってのではなく、彼女の知った綾瀬楓本人に惹かれ、想い悩み、恋を自覚し、また楓本人も連絡が付かない日奈々に真っ向勝負で気持ちをぶつけ、4話目終わりで二人は恋人同士としてスタートします。
ああ、今から来月号が気になる……。216円だったら軽くポチってしまいそうな値段です。たとえ、読み物がこれひとつしかなくても……。


正直なところ、日奈々が芸能界のごたごたに巻き込まれたり、どろどろシリアスな感じにはならなさそうだなぁと現段階では爽やかな路線しか想像できませんが、4話で触れられている楓の過去とか、元グループのメンバーとの関わりとかも今後ありそうですし、この先どうなるのか楽しみです。

あーでも、やっぱりギャグ絵というかデフォルメ絵は好みじゃないわ。というか、ちょっときもい感じ。
主人公の品行方正な真面目キャラっぷりは好きなんだけど、そのギャップもあるんだろうけど、可愛い感じの絵に、ちょっときもいギャグ絵が挟まれるのがちょっといただけないのが残念。

そういえば、この作家さん、今までちゃんと見たことなかったから何とも言えないけど、今作からデジタルになったのかな?
作中、妙に背景効果が多いというか、アナログではできなさそうな使い方してるなぁって思う部分があるように思えたので。
カラーは凄い自然っぽいからアナログかと思ったけど、作者さんTwitter見ると一部デジタルって感じっぽい? すごい自然に使われてるなーって感じ。アナログの持ち味とデジタルのいいところが綺麗に融合してる感じだ。
ま、お話が面白ければどうでもいいことだな。

最後に、るんちゃんとあーちゃんには、脇役カップルよろしく恋仲になって欲しくありません。
あーちゃんは、そのうち日奈々が楓と付き合ってることを知って、何かしら心配したりするんだろうな。お約束のように、実は小さい頃から好きだったとかあるのかな? それか、バンドマンということだし、こっちも芸能界に関わってくるのか・・・。


とりあえず、日奈々の妹のすずちゃんがかわいいです。


午前0時、キスしに来てよ(1) (講談社コミックス別冊フレンド)午前0時、キスしに来てよ(1) (講談社コミックス別冊フレンド)
みきもと 凜

4月の君、スピカ。 2 (フラワーコミックス) L DK(18) (講談社コミックス別冊フレンド) オオカミ少女と黒王子(13): マーガレットコミックス お願い、それをやめないで 1 (フラワーコミックスアルファ) ちっちゃいときから好きだけど(6) (講談社コミックス別冊フレンド)

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テーマ : 漫画の感想    ジャンル : アニメ・コミック

[小説] レオ・アッティール伝Ⅰ 首なし公の肖像 著:杉原智則

「ぼくはアリオンに来てよかったよ。きみや――、きみたちに会えたから。だから泣くことなんてない。ぼくをかわいそうだと思う必要もない。笑っておくれ、フロリー。そして歌っておくれ。アトールもアリオンもないんだ。きみが笑い、歌ってくれるその場所が、ぼくが幸せに笑える場所なんだから」
(レオ・アッティール伝Ⅰ 首なし公の肖像 p209)


404865196X レオ・アッティール伝 (1) 首なし公の肖像 (電撃文庫)
 杉原智則 岡谷
 KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2015-06-10

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発売数日前に、たまたま著者作品のレビューを見ようと思いたち、新作が出ることを知った。
当ブログでレビューも書いたことのある「烙印の紋章」の作者の新作である。
[感想] 烙印の紋章 1~9巻
[感想] 烙印の紋章 12巻

この「烙印の紋章」は久しぶりにわくわく読んだ作品だったけれど、正直なところ個人的には完成度という意味では手放しに賞賛はできなかったりする。
西方編までは間違いなく傑作だと思うんだけどね…
シークが退場してから、結構きついもんがあったし、終わり方としては纏まってはいるけれども、伏線の取りこぼしなどの宙ぶらりん部分が気になった。


そして、烙印の後のスニーカー文庫で刊行された新作は、イラストとあらすじで手に取らないまま、気がついたら一部完になってた。
きっと、二部は――大人の事情って嫌だねぇ。
最後まで読めないのも嫌なので、もし、二部が刊行されそうなら、ちゃんと一部から読んでみたいとは思います。


と、そんな情報を仕入れていると、見慣れない表紙の画像が!
おっ、電撃文庫から新作出るんだー。ガチファンタジーかな? うん、あらすじ、いいな。烙印的な重厚本格ファンタジー楽しめる! と、即Amazonでポチりました。初動大事! 新作お布施の意味も兼ねまして。
表紙印象からすると、ヒロインこの人なのかなー、あまり好みじゃないなぁとか思ってたけどね。読了してから見ると、なぜこのセーラさんが1巻表紙を飾ったのか全く意味不明です。作中で、主人公レオ公子とこの表紙のセーラは、作中で会話らしい会話すら交わしてませんから。色っぽいヒロインを表紙に入れとけとでも編集指示があったのでしょうか?

イラスト担当の方は、電撃イラスト大賞金賞をとった方のようで、電撃編集部的に、この新作を押し作品にしようとしてくれるのかな?と思わなくもない。
絵としては烙印よりは癖がないので、個人的には好きな感じのイラストです。モノクロ挿絵はカラーに比べると無機質な感じで魅力減ですが、邪魔になる感じではないので全然有りです。


そして烙印が終わってから、出入りしてなかった2chの作者スレを確認すると、もちろん話題が出ていました。
すると、どうやら烙印と同じ世界観というではないか!
いやぁ、これは期待しないわけにはいかない。
と思っても、私の頭の中からは烙印の相関関係はすっかり抜け落ちているので、アリオン?どこそれ?状態。オルバとビリーナという主要キャラの名前くらいしか覚えていない。上記でその死にショックを受けたシークの名前すら覚えていない始末。


そんな私ですが、新作、とても楽しめました。
いやぁ、これは続きが気になる。
早く続きが読みたい! 烙印の刊行ペースから考えると、5-6ヶ月ペースかな?
スニーカーのは4ヶ月ペースみたいだったけど。


正直言うと、1巻の構成としてはこれどうなの?って気というか、読者獲得という意味で、心配になってしまいます。
というのも、50p辺りから200p近くまで主人公不在なんです。1巻なのにっ!
私もその辺り、ちょっとうつらうつらしながら読んでたことは否定できません。

が、そこに出てくるキャラのまた生き生きとして素敵なこと!
かと言って、主人公に存在感がないわけではありません。もちろん最近のラノベにありがちな、俺TUEEE系では断じてないので、そういう主人公が好みの人からしたら派手な部分はないとは思いますが。

そして、その主人公不在の状態から、話が主人公たちと状況をともにしてからはかなりぐいぐい来ました。


烙印での主人公は、影武者の王子さま(皇太子だけど)だったのが、今回は人質に出された王子様です(公子だけど)。


今回の主人公は美少年系主人公? 女性的な繊細な顔立ちらしい。
身長は高いみたいだけど、ほっそりしてる。17歳。
性格も大人しめ。剣を握るより本を読むほうがあってる感じ。
そんな彼が作品序盤で語られる悪名高い『首狩り公』と呼ばれるようになるまで。


1巻の時点では、この穏やかな感じの少年がどうしてそんな風になるのか全く想像ができない。片鱗はちょっとあるけれども。
武将タイプではないです。知略タイプで色々成し遂げていくのかな? なんとなく狸な気がする。
表面はとても穏やか人畜無害な感じなのに、それは彼の中のよどみを排除した結果であって、黒い面も同時に育っていたようです。
彼の今後が、とても楽しみです。


烙印の世界よりは少し前の時代のようですが、この先、主人公の国アトールは存在していない。
どうやら、主人公が自国を滅ぼすよう?
でも、悪名高く後世には伝えられている人物になるけれども、英雄なのだという。
しかも、主人公不在中、というか1巻の半分はパーシー=リィガン伝と言っても過言じゃないかもしれないのだけど、このパーシー、アトール国の貴族の次男坊。20歳。色々こじらせた感じの黒歴史を持ってるけれども、中々のアニキ気質のいい男です。
その彼はなぜか、アトールの敵国アリオンの英雄になっているらしい。

この後、歴史がどう動くのか全く予想ができない。








と、前置きがとても長くなりましたが、以下簡単なあらすじ。
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[小説] 初恋の爪痕 著:藤波ちなこ

 まるであつらえたかのように、こんなにもゲルハルトにぴったりなのに、男なしでは生きていけないくせに、なぜ自分の元から離れようというのか。
 他の男に指一本触れさせてはならない。泣き顔も喜んだ顔も、はにかみも感じたときの顔も、誰にも見せてはいけない。
「――おまえは私のものだ」
 ユリアネの腹に自分の子種が宿るかもしれないという想像は、ゲルハルトをひどく満足させた。産ませれば、彼女を繋ぎとめる枷になる。子どもを捨てて逃げるような女ではないからだ。

(初恋の爪痕 p136-137)


初恋の爪痕 (ソーニャ文庫) 初恋の爪痕 (ソーニャ文庫)
 藤波ちなこ 北沢きょう

 イースト・プレス 2014-11-02

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Amazonでのレビューがすこぶるよく、幼なじみ、そして気付かないまま陵辱ものというので気になっていた本作。
ぶっちゃけ、今まで読んだTLの中で一番好きかもしれないと思った。
これを読む前に、火崎先生の「あなたの手を取るその前に」を読んで、似たようなこと思ったというのに、こんなに当たりTLにぶっつづけで当たるなんて、今年は中々のヒキがいい気がします。


ただでさえ、幼なじみ設定好きなのに、そこに陵辱要素とな!?
いったいどうやって絡まってくるのか……



小さな頃のほんの短かな邂逅そして初恋。小さな頃の約束を胸に、いつか自分に優しくしてくれた少年に再会できることを夢見ていたユリアネだが、邂逅から七年が経ち、彼女はその少年と自分が結ばれることはないと知る。
それは、少年の父親であるグロウゼブルク侯爵と自分の母親が、道を踏み外した関係だからだった。
そして、ユリアネが十六になる前、グロウゼブルク侯爵の息子ゲルハルトが、彼女の母の死の知らせとともに訪ねてくる。
彼の父親の愛人だったユリアネの母は、彼の父とともに海に落ち死んだという。ゲルハルトは愛人の身の程を思い知らせてやると、自分の家族を壊した憎しみ、復讐として、ユリアネは愛人関係を強要されてしまう。
しかし、その裏には、ユリアネの両親を死に追いやったグロウゼブルク侯爵の狂気とユリアネを愛する母の愛が絡んでいて――。



何がいいって、なんか身も蓋もないないけど、結構中盤まで陵辱行為があることかな!

なんだかんだと、無理やりがあるTLって、無理やりだけど結局、ヒーローの行動理由に免罪符的な、ヒロインに対しての愛みたいなのがある気がして、それをヒロインもなんだかんだ楽しんでるところがある気がして興ざめ感がある気がするんです。
以前レビューにも書いた「断罪の微笑」でも、私陵辱描写に萌えを見いだしてたけど、最初以外は陵辱要素薄いっちゃ薄いんだよね。これ、結構なんだかんだと、ヒロインも媚薬漬けにされて楽しんでる感じもあるから。
ヒーローが潜在的にヒロインに惹かれてたり、酷いことされても、ヒロインがヒーローを知ってて本人を愛してるからってのが両方とも前提にあるんだけどね。

ま、これユリアネとゲルハルトが小さい頃に出会ってて、初恋と自覚してて、酷いことされても、ゲルハルトに恋してるという自覚を持ってるから、彼女自身の心の救済措置ではあるけど、これを言ってしまえばTLはおしまいだが、よくこんなことする相手をずっと好きでいられるよね!というw
ゲルハルトも自身も、婚約者が家に訪れているときに、エスカレートするし。お父さんとそっくりですw

正直、TL作品においての復讐=女の望んでない形で身体を性的に痛めつけるって展開はよくあると思いますし、設定のひとつだよねとある種の割り切り感もあるんだけど、この作品の場合、愛人強要という目的があるからこそ行為だから、TLネタ的な不自然な感じがあまりしないように思えた。


なんだろ、この「初恋の爪痕」は、ユリアネは精神的には本当にいやがってて、関係を強いられてる感がすごくいいです。
そして、ゲルハルトが自分の父親がユリアネ親子にしでかした真実を知り、自らがユリアネにしたことを改めて思い知ったあと、取り返しの付かないあとに、ユリアネへの恋心を自覚しているのがとても良かった。
また、そこにユリアネ=小さい頃に出会った少女という思い出補正が加わってないのもすごく良かった。思い出補正加わってないってことは、ゲルハルト自身がユリアネを虐げた期間に知った、現在の彼女自身に恋をしたってことですから。
これ順番違うだけで全然、気持ちの度合いが違うからね。思い出補正はある種の吊り橋効果と言えなくもないですから。

ゲルハルトが過去を知る切っ掛けになったのが、ユリアネの訴えからってのもあるんだけど、そこでのシーンも凄く良かった。真実を知ったユリアネが、なりふり構わずゲルハルトに訴えて、死を望む行動に出たことに、ゲルハルトは無自覚に彼女に恋してるからこそ、わかりにくく狼狽えてる感もまたよかった。

陵辱描写も、ユリアネにあえて感じさせるという背徳感を持たせる行為をゲルハルトが行っているのもあって、なかなかのどろどろ具合もいいんだけど、かなり痛々しいシーンもあって、個人的にはすごく満足。
冷静な視点から言ってしまうと、この人、いつもこんなにすぐ準備万端なほどよくおっ勃ててんね、と思う私がいなくもありませんでしたが。


あと、今作の良いと思う点に、痒いところに手が届く感じでユリアネとゲルハルト両者の視点が交えられて語られる構成であり、かつ話の構成というか、テンポがとにかくすごくいいです。ストレスなくするする読めます。
そして、とにかく心理描写の充実具合もいい。
絶望的な状況なのに、それでもゲルハルトを受け入れるユリアネの心や、蛙の子は蛙だねといった歪み具合をみせるゲルハルトの危うさもすごく丁寧に描かれています。

濡れ場自体も、そんなにページ数が割いてあるというわけでもないのに、なんだかすごく充実してて、過不足ない感じの満足感がありました。いやぁ、30ページ割かれてるエロ描写はよくあるけど、ページ割けばいいってもんでもないなって改めて思いました。
結構濡れ場が濃い感じがしましたが、そういった行為が頻繁に行われているという語りだけで、実際の濡れ場らしい濡れ場といえば、5シーン程度なので、まぁ普通でしょうか。でもそれぞれのシーンに割かれてるページ数はそんなに多くないのに、えろが濃い気がするのは、きっと一度で終わってない、連発が多いからでしょう。あと、個人的には事後シーンがさらっと描かれてるのがかなりツボでした。
上記抜粋シーンの辺りもニヤニヤしましたが、ユリアネがゲルハルトの元から去る前日の甘々も素敵だった。事後のゲルハルトの想いも描かれている分、ユリアネ視点での彼の触れ方や語らう描写が切ない。


また、過去が明るみになって、故人の想いとかが語られるあたりは、かなり涙腺刺激されました。
ユリアネの父の乳母であり、彼女の育ての親であるパウラが、隠さざるを得なかった過去にある、ユリアネの両親の彼女に対する愛。
もう、家族愛ものって涙腺刺激されやすいんです、私。死にネタ系は、涙腺刺激されながら冷静に、泣けるのは死にネタだからかーなんて思ってしまったりするんですが。


TLだから、ヒロインにいくら酷いことしたヒーローでも結ばれるんだろってのがあるけれど、正直ゲルハルトさん、この行いの落とし前をどうつけてくれるんだろって読みながら思ってましたが、ユリアネに対する贖罪は、ゲルハルトの心理描写が丁寧なのと、彼自身ができうる限りの誠意が語られているのもあって、読んでてこんなもんかって興ざめ感がなく良かった。
最終的に、彼は何も失ってはないけど(信じていた父親像は藻屑のように消え失せたでしょうがw)、多分ユリアネにしたことは、いくらユリアネが許しても一生背負っていくものになるんだろうなぁっと。


とりあえず、作品全体にとても満足のいく作品でした。


細かいことを言うと、ちょこちょこ気になる部分はあるし、ラストとってつけたように修道院でやるのかよ、いくらユリアネが許したからといって、こいつよくこんな行動に出れるな、節操ねぇななんて思う部分は無きにしも非ずでしたがw 一応、場所を弁えて背徳感持ってる描写があるから、そこまでもやっとはしませんでしたけど。

再会するまでも、ユリアネがゲルハルトとともに行くと決心するまでも結構早かったなというか。まぁ、そこは、ゲルハルト自身の想いもあり、いてもたってもいられなかったんだろうってのはわかるんだけどね。
あと、パウラもそのまま修道院に入ったまんまになるのかなとか、元々彼女の望んだ形かも知れないけど、ユリアネに巻き込まれて修道女になったように見えなくもない。そして、パウラが乳母をやってたんなら、自身の子どもとか家族はどこにいるんだろ?とか気になったりもしました。
使用人の描写ももうちょい白黒はっきりさせて欲しいというか、ミューエさん、作中のどっかでユリアネに謝ってはいるんだけろうけど、そこはさらっと一言触れては欲しかった。

あと、描写は丁寧なんだけど、その視点の人物が相手の思いを汲み取るような描写で、ある種の憶測なのに断定的に、言ってしまえばその視点であるキャラに都合のいいように、その相手の気持ちを解釈、代弁されてる感があるなぁなんて思わなくもなかったかな。


挿絵は、なんか表紙の小綺麗な印象からすると、丁寧なんだけど本当に表紙の人と、同一人物が書いたのか若干不思議に感じる部分がありましたが、作品印象とミスマッチって感じの拒絶反応感は全くありませんでした。
さらっとしてた主張が強くない感じなので、読んでて邪魔にはならなかったです。挿絵って下手すると、作品の印象壊すな、目に入れたくねぇんだよ!ってのもあるので……。いくら良い作品に思えても、挿絵ひとつで下品に見えたりもしますから。




ソーニャ文庫公式で、番外編が読めるんですが、父親の日記の裏の意図を汲み取る描写があって、それは本編に入っても良かったんじゃないかなぁと思った。
本編だけだと、なんかこんな真相があるのに、都合良く証拠物件残ってたよね感があることは否定できないので。
なので、本編読了後、番外編は必読です!

実は、個人的には、懐妊がわかるシーンも、見てみたかったなと思う面がある。
そして、それがゲルハルトがむちゃくちゃやってたときにできた子どもだとしたら、その後真実を知ったあと、彼の思いはいかほどだっただろうねw そして、子どもが出来たことで、ユリアネを手元に置けるほの暗さも見てみたかった。

Amazonのレビュー見てて思い出したけど、そういえば、読んでるとき、TLだからハッピーエンドだろうなぁとは思いつつ、やっぱりハッピーエンド至上主義の私としてはそう望みたい面もあったのですが、この作品は不思議と別れるエンドでもいいかもなんてぼんやり思ってました。




この作品が面白かったので、同著者の「ためらいの代償」も読んでみましたが、設定萌えは最初からなかったとはいえ、この作者さんの描写は好きだなぁっと思いました。

次作が出たら、お名前買いしたいと思います。


初恋の爪痕 (ソーニャ文庫)初恋の爪痕 (ソーニャ文庫)
藤波ちなこ 北沢きょう

マジメな魔王様を誘惑したらドSな絶倫になりました。 (ティアラ文庫) 二人だけの牢獄 (ソーニャ文庫) 軍服の渇愛 (ソーニャ文庫) 水底の花嫁 (ソーニャ文庫) 黒い天使は愛を囁く (ガブリエラ文庫)

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[小説] あなたの手を取るその前に 著:火崎勇

「あ…、いや…っ。痛…」
「十分に濡らしていないから痛むか。だがそれでもお前は私を受け入れる。そうだな?」
 それしか道はない、と言われた気がして、私は目を閉じ、唇を噛み締めた。
 あの時は、二人が一つに繋がることに喜びを感じたのに、今はただ辛いだけ。
 身体の中に彼を感じても、異物としか思えなかった。

(あなたの手を取るその前に p139)


4879193143あなたの手を取るその前に (ガブリエラ文庫)
火崎 勇 池上紗京
三交社 2015-03-25

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幾度となく戦争の噂が流れる、豊かな国クラウドと貧乏国セイカの国境の街エンデバでお針子を目指すフラウは、街の外の岩山で足を怪我した青年に出会う。
見捨てるわけにもいかず、彼――コールの怪我が直るまで世話を焼くことに。その彼の怪我治癒するまでの三週間で、コールとフラウは、お互いを縛るものがないただの男と女として距離を縮め結ばれる。
フラウ自身、彼との恋は一夜限り、この先恋を知れたという、コールを愛する想いを胸に生きていこうとしていたとき、セイカ国王の庶子である自分に迎えがやってきた。それは、敵国エンデバの王に政略結婚のための迎えだった。
しかし、赴いた先の国、エンデバ国王コーネリウスは、フラウの愛したコールその人だった――。



最初、粗筋を読んだときは、いつもの火崎✕池上コンビの作品だというのに、なんとなく手が出てなかった。
ボーイミーツガール系で、怪我の世話を焼くうちにいつしか――なんていう、ベタ感というか、TLのきらきら感あるのかな?と、別にTLお約束のキラキラ要素が好きなわけでもないのに、なんとなくスルーしてた。

なので、普通にレビューの評価もいいし読んでみようかなんて手をつけてみたら、今まで読んだ火崎作品でもしかしたら一番かも……なんて思うくらいには、自分の中でツボに来た作品でした。

火崎先生の作品は、お約束感があって、話はベタすぎるくらいベタでとても安心して読めるんだけど、なぜか全然退屈に思えない。
一人称作品って下手をすれば、くどい印象を持ったり、語り手に感情移入しやすい反面、その人物に対する読者としての気持ちも両極端なものになったりもするんだけど、火崎ヒロインは、本当にいいこちゃんなんです。いや、こうやって書くと、なんかあれだけど、不快感のないヒロイン象というのかな? 貞淑で、自ら己を律して動く、そして一途に相手を想うので、不快感がない。
と、今回のヒロインもひたむきな感じで、賢くて、ヒーローを一途に想って――ってのは同じなんだけど、一応国王の庶子であるとはいえ、生まれてからずっと田舎町で暮らしていたこともあり、まして王女教育なんて受けたこともない。
そんなヒロインであるフラウが、生まれを利用され、戦争回避のための政略結婚として、想う人が胸にいるのに知らない男に嫁がなければいかなくなる。

読者としては、作中で、二人が最初に出会ってから別れるまでの間、フラウが自身の出自を語る時点で、自分の父親がセイカ国王かもしれないというあたりで、話の展開は読めるものだと思う。
もちろん、その読みどおりに話は進むんだけど、フラウとコーネリウスの間にすんなり幸せは訪れないw
コーネリウス自身、彼女が隣国の王の娘だとわかり彼女と一緒になる一縷の望みもあって、こういった政略結婚という形にし、ドヤ顔で再会するも、愛の言葉なんて言われてないし、フラウは自分の出自を利用された、コーネリウスに愛されて望まれたわけではないと彼に対し頑なになる。
そして、コーネリウス本人も、彼女が再会を喜んでると思っていたのに寝耳に水、自分を金で買った、娼婦扱いしたと訴えられる。フラウも自分の身に両国の『平和』がかかっているからと、自分の立場を受け入れるしかなくなる。
ほんのちょっとの意識の違いでこうもこじれるかってくらい、二人の間はすれ違うのが面白いです。

そして、いつもの火崎ヒロインとちょっと違うなって思ったのが、フラウは、自分の教養のなさや政略結婚で嫁がされた被害者意識に卑屈になった部分もあるってところ。それを人に諭されるまで、自ら努力はしていなかったと自覚し、コーネリウスの王妃として様々なことを学んでいくところが素敵でした。

また、作中には、コーネリウスの妹カップルがいて、彼女リンディアが、フラウの良き友人になるんだけど、結構彼女が中途半端な情報をフラウに与えてくれるせいで、フラウはコーネリウスに自分ではない好きな相手がいるとか思う始末w
そんな妹姫は、庭師と身分違いの恋に誰にも言えず悩み中。フラウは自由な恋ができたはずなのに、政略結婚に巻き込まれたことで、望んでない結婚を強いられたことに仲間意識を持って打ち解ける。
そして、フラウはフラウで、自分の恋は叶わないから、妹姫の恋を応援しようと、身分違いの結婚をするにはなんて人に聞いたりして、そしてまたそれがコーネリウスの耳に入って、また妹姫と庭師を取り持とうと動いたせいで、コーネリウスにいらぬ勘違いをされてしまったりwww
嫉妬というかなりお約束な展開ではあるんですが、ここも火崎ヒーローにしては、ヒロインに対しての余裕のなさっぷりが素敵でした。火崎ヒーローって、いつも高みから余裕で無知なヒロインを翻弄してるだけって部分もあるので。

結局のところ、フラウと庭師が一緒にいるところを勘違いして暴走して、妹姫たちの関係も知れて、皆幸せにうまく収まりましたーってなります。

欲を言えば、結婚式まで見たかったなーというのが本音。
そして、火崎作品では、いつもあとがきでのさらっと語られる二人の今後を覘いて見たいという思いが募ります。

と、全体像を考えると、結構今回濡れ場自体は三シーンと少なめかなぁと思わなくもなかった。
ページ数も少なめっちゃ少なめな感じだったけど、なんだか凄く満足感あった。
甘々と痛さの両方を兼ね備えて、結構痛い思いしてるヒロインが可愛いと思えてしまう自分はすごく良かったです。初っぱなから無理やりってのは、なんかパターン的な何かが見えるんだけど、中盤に痛い部分があったのもまたいいなぁと思いました。


そして、最後に。
挿絵の絡み絵がすごく綺麗でした。

私、池上さんの絵って、表紙の色遣いとかすごい綺麗だって思うけど、挿絵ってなんだかなぁというか、「さらわれスノーホワイト」読んだときは、なんか変って印象が持ってました。特に濡れ場は違和感あった。でも、最近、って言ってもそんなに読んでないけど、「囚われの姫と黒の覇王」を読んだときも変に思う部分はなかったというか、これもいい話でエロも満足できた。
ガブリエラ文庫だと、エロも内容も安心感あるかななんて思う始末。次作で、また火崎✕池上コンビのガブリエラ文庫だと、予約買いしたいなと思いました。まぁ、校正ミスみたいなところはあるけど、校正ミスが気にならないのなんて、たぶん、TLジャンルだと講談社のWH文庫しかないんじゃないかなとか思う。
WH文庫と言えば、もうすぐ同著者の「秘密を抱く花嫁 真実の愛に溺れて」が発売されます。

WH文庫の作品は、「誘惑された花嫁候補」「花嫁はもう一度恋をする」の両作を読んでいますが、前者はイラストが好みじゃなかったのもあってあまり好きではなかったけど、後者は記憶喪失設定だけで設定避けしたい感じの私でも素直に面白いと思える作品でした。

そして、そんなWH文庫から出る新作が男装物だという!!!
男装設定大好きな自分は、書き手が火崎先生というだけで、久しぶりのTL予約買いです。
以前、男装というだけで地雷踏んだのもあって、大好きな設定だからこそ、とりあえずやることが前提のTLでは敢えてほとんど手をつけなかったジャンルでもあったりします。

はたして、1冊で終わるTL作品で男装という両者にとってのもどかしさをどう火崎先生が展開してくださるかが楽しみでなりません。


ということで、なんか話はそれましたが、「あなたの手を取るその前に」、お勧めです。



あなたの手を取るその前に (ガブリエラ文庫)あなたの手を取るその前に (ガブリエラ文庫)
火崎 勇 池上紗京

愛を選ぶ姫君 ~運命は花嫁にささやいて~ (ロイヤルキス文庫) マジメな魔王様を誘惑したらドSな絶倫になりました。 (ティアラ文庫) 黒い天使は愛を囁く (ガブリエラ文庫) 略奪されたフィアンセ (ガブリエラ文庫) 暴君皇子の執愛 奪われた純情 (ガブリエラ文庫)

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[韓国ドラマ] 朱蒙 チュモン 全81話

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朱蒙全81話やっと見終わった……
おかげでここ何日か寝不足です。
この話を見終わったら寝るぞって思うのに、毎回いいところで終わるおかげで、どんどん時間が必要になるという恐ろしい時間の無駄消費に……

面白かった。すごく面白かった。
あと何話で見終わると思うと、寂しくなるほどに。


けど、見終わった直後の今、率直な感想を言うと、


うーん、やっぱり韓国ドラマの終わりってもやっとする……


ラスト1話前までは、面白いって思えたりするのは多いのに、最終話を見ると脱力感持つっていうか。


今年入ってから、フルで見た韓国ドラマは、この朱蒙を含め、トータル11作になるのですが、そのうち6作が歴史ドラマでした。
高視聴率の作品から攻めていったら、はずれはないだろって感じで選びましたが、うち「帝王の娘 スペクヒャン」はソチ五輪の影響もあったとはいえ、打ち切りで話数減らされた作品だから綺麗に描き切れてない、いつもの韓国ドラマのように終わり方もやっとするのかなと思ったら、素直に視聴後感が良かったと思えた作品でした。
多分、史実の王が登場するとはいえ、面白いフィクションで、かつ国の存亡とかのお話ではないので、史実を確認したりして、空しい気持ちにならないからでしょう。
韓国歴史ドラマは、歴史詐称のファンタジーだと言われますが、wikipediaで触れられてるくらいの内容は辿ってるっぽいので、国の存亡とか確認すると、ドラマ中で大層なこと言ってるけど、結局滅びちゃうのかーと思う何とも言えなくなります。
それは、自分が日本人で、過去に国が幾度と移り変わったという歴史を辿ってない国に生まれたからかなーとかぼんやり思う始末。
史実ものはオリジナル要素部分は面白いけど、結局ラストは史実に合わそうとするから、キャラの死が明確になるのもあってもやっとするんだろうな。


他の作品は、チャングム、トンイ、一枝梅、王女の男と見ました。
チャングムは人の腹をかっさばきたい衝動を抑えられなかったマッドサイエンティストチャングムさんに若干ぞわっとするものがあり、トンイはいい終わり方だったけど結局死まで描くにしても病気フラグだけ立てて明るく終わったのにはもやっとした。鼻血シーンなくていいじゃん……。一枝梅は、ヒロインの立ち位置に不満足。王女の男は寝不足になりつつ最後まで一気見して、時間返せって思った。

んで、朱蒙。
これも、トンイと同じく、ラストのチュモンの死まで少しの期間をさらっと語るなら、死亡フラグは立てないで欲しかった。
骨髄まで邪気が来てるとか語られたくなかったというか、病没か戦死か語られないのなら、さらっと40歳没でユリに王位譲ったってだけでいいじゃんか。



まぁ、そんなこんなで以下適当感想の前に一言。

他のドラマ見ても、めんどくさい病が出てたからブログ更新はしてなかったけど、終わりにもやっとする部分はあるにせよ、私に更新しようと思わせる何かがある作品であったのは事実です。
幾度なく貯まるフラストレーション。多様の盛り上がりで、視聴気分をどんどんアゲアゲ状態にしてくれます。

そんだけ楽しんだあとに、もやっと感があるからこそ、書きたいこともあるってだけですけれど……
テーマ : 韓国ドラマ    ジャンル : テレビ・ラジオ

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「烙印の紋章」と世界観を同じくする作品。人質として敵国で過ごしたアトールの第二公子レオ・アッティールが、どうして後世悪名高き英雄『首狩り公』と呼ばれるようになったのか――? 重厚な世界観はもちろん折り紙つき。ライトノベルを読む楽しさ数年ぶりに思い出させてくれた胸熱な戦記物。
[感想] レオ・アッティール伝Ⅰ 首なし公の肖像
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▼WW2という世界を背景に生きる少女(少年?)たち。正直欲張りすぎだろ!ってくらい萌え要素の詰め込みを感じるも不思議と破綻せずに読ませる魅力に溢れるている。6年の歳月を経て講談社文庫で新装復刊、2015年4月現在3巻まで刊行中。全4巻完結予定。
[感想] カーリー1~2巻
カーリー <1.黄金の尖塔の国とあひると小公女> (講談社文庫)カーリー <2.二十一発の祝砲とプリンセスの休日> (講談社文庫)



▼TL小説。騙されたと思って読んで見ろ!
◆ただの男女として出会った二人が少しずつお互いを知り、そして――(火崎勇著「恋と泥棒の仕方は覚えます」) ◆わずかな気持ちのすれ違いから誤解が生じてしまう。王道の話運びの中、一人称の心情描写がぐいぐいくる。(火崎勇著「あなたの手を取るその前に」) ◆復讐のため陵辱され愛人関係を強いられたその先、過去の真実とは――?(藤波ちなこ著「初恋の爪痕」) ◆互いに心と身体に傷を持つ姫と騎士、二人の出会い。姫を救うため騎士のとった行動とは?(藤波ちなこ著「最愛の花」

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[感想] 最愛の花
恋と泥棒の仕方は覚えます~姫君と黒の貴公子~ (ジュリエット文庫)あなたの手を取るその前に (ガブリエラ文庫)
初恋の爪痕 (ソーニャ文庫)最愛の花 (ソーニャ文庫)



▼この言葉に出来ない臨場感はなんなんだろう。無駄なページが、コマがひとつも無い。漫画としての見せ方がとにかく半端ない。2015年4月現在、13巻まで刊行中。→ 1巻感想
ましろのおと(1) (講談社コミックス月刊マガジン)ましろのおと(13) (講談社コミックス月刊マガジン)



▼竜×人間のもどかしい恋物語。独自の世界観と取捨選択され凝縮された内容が魅力的。恋愛だけでは語れない少女小説。2015年4月現在、6巻まで刊行中。
[感想] 白竜の花嫁 1~3
[感想] 白竜の花嫁 4 朽ちゆく竜と幸いなるもの
[感想] 白竜の花嫁 5 愛の終わりと恋の目覚め
[感想] 白竜の花嫁 6 追想の呼び声と海の覇者
白竜の花嫁 紅の忌み姫と天の覇者 (一迅社文庫アイリス)白竜の花嫁6(仮) (一迅社文庫アイリス)



▼主人公は、社会人女装お母さん(♂)! 定期的に読みたくなっては、腹がよじれるほど笑わせてくれる上に、中にはほろりと来るエピソードも有。女装お母さん真琴と子供の崇、そして真琴の恋人、菜摘が織り成すコメディ作品。全10巻。→ 最終巻感想
ニコイチ(1) (ヤングガンガンコミックス)ニコイチ(10)(完) (ヤングガンガンコミックス)

◆同作者による、義姉弟モノの恋愛作品、ライアー×ライアー。2015年4月現在6巻まで刊行中。
ライアー×ライアー(1)ライアー×ライアー(6) (KC デザート)



▼罪について描かれた三作が収録された作品集。個人的には冬霞が一番好き。少女漫画的には半夏生。→ 感想




▼「花」に愛しい人を奪われ、癒えない傷を胸に、主人公は「花」と戦うことを決意する。主人公とヒロインの距離感が絶妙。世界観もファンタジックで幻想的。続きが読みたくて堪らない作品の一つ。
[感想] 花狩のロゼ 歌姫は薔薇を殺す
花狩のロゼ 歌姫は薔薇を殺す (B's-LOG文庫)



▼ごく普通の中学生として過ごしていた主人公の日常が変わっていく。限られた世界の中で、日常を隣り合わせに死闘が繰り広げられる。先の見えない不安の中に面白さが混在し、今後の展開が全く読めない。2014年1月現在、一学期編完結、4巻まで刊行中。2013年12月よりstudio ET CETERAで5巻分を無料公開中。
[感想] ほたるの群れ1~2巻
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▼青春恋愛小説。主人公の達観したような淡々とした視点の中、様々な感情が混ざり、ある種の熱さを伴ってヒロインに接している描写がたまらない。全3巻。
[感想] 東雲侑子は短編小説をあいしている
[感想] 東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる
[感想] 東雲侑子は全ての小説をあいしつづける
東雲侑子は短編小説をあいしている (ファミ通文庫)東雲侑子は全ての小説をあいしつづける (ファミ通文庫)



▼最近のライトノベル界では中々珍しいガチ戦記物。しかし、ライトノベルとしてニヤっと出来るキャラ具合もちゃんと盛り込まれてる感じが堪らない。全12巻。
[感想] 烙印の紋章 1~9巻
[感想] 烙印の紋章 12巻
烙印の紋章―たそがれの星に竜は吠える (電撃文庫)烙印の紋章XII あかつきの空を竜は翔ける(下) (電撃文庫)



▼とにかく大好きな少女漫画「こどものおもちゃ」の紗南ちゃんと羽山のその後を読むことが出来るHoneyBitter番外編。これの前編が出たときは、雑誌で何度も何度も読んでは、次号が出るまでの間、こどちゃも何度も読み直しました。もう、最高です!→感想
Deep Clear 「Honey Bitter」×「こどものおもちゃ」特別番外編 (愛蔵版コミックス)


▼某社倫理規定に抵触し出版停止となった、唐辺葉介氏のあの問題作が、ついに始動。→ 感想
暗い部屋



▼軍人幼馴染目的だったが、成金と庭師にやられた。えろもシナリオも満足保証!! 特に成金BAD「後悔」は涙腺刺激された。→ 感想




「蝶の毒 華の鎖」のFD「蝶の毒 華の鎖 ~幻想夜話~」。ハッピーエンド後のアフターストーリーのみならず、本編バッドエンド周りも補完されてるとのこと……三郎EDないかなぁ……正直、誰得だが、BADだとあってもいいと思ってしまう。




▼「黒と金の開かない鍵。」(→感想1感想2)を処女作にもつlittle cheeseの新作「トリック オア アリス」
黒と金の開かない鍵。トリック・オア・アリス



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波

Author:波
脳内はいつもピンク色。
妄想とかレビューもどきの感想とか、勝手気ままに綴ってます。ネタバレ含みまくりです。胸熱な勢いで更新したくなる作品に出会ってない気がする今日この頃。
ブログを更新するほどの熱い想いを持てなかった読了本の感想は、読書メーターにて。
拍手レスページ(2011.08~)

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